よくある質問Q&A

【トラブル編】

《年次有給休暇》

Q1.私は、食料品製造業の工場で、1年契約の有期契約労働者として、週4日、1日6時間勤務しています。現在、入社して8ヶ月が経ちましたが、有期契約の労働者には年次有給休暇は発生しないのですか?

A1.有期契約の労働者であって、週4日以下の勤務であったとしても、その所定労働日数に応じた日数の年次有給休暇が発生します。但し、6ヶ月以上継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤していることが付与要件です。ちなみに相談者様の場合は7日の年次有給休暇が付与されます。

《解雇手続》

Q2.パート社員として約2年働いています。使用者から「他を探したら?」など解雇をほのめかすようなことを言われ、2週間先まで入っていた勤務シフトから外されました。もし解雇であるならば相応の金銭的補償を受けたいと考えています。アドバイスをお願いします。

A2.まず解雇なのかどうか使用者に確認して下さい。

仮に解雇であれば、パートタイム労働者であっても、使用者側から労働契約を打ち切る場合には、労働基準法が定める解雇の手続が必要です。具体的には、解雇の30日以上前までに予告をするか、平均賃金の30日分以上の支払いが必要となります。

また、既にシフトに入ることが決まっていた日について、使用者の都合でシフトから外した場合は、平均賃金の6割以上を休業手当として支払う必要があります。

《解雇制限》

Q3.業務上の事故により長期療養中の従業員がいますが、この従業員を解雇することは可能でしょうか?

A3.労働基準法第19条第1項では「使用者は、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のため休業する期間およびその後30日間は解雇してはならない。」と規定しています。この場合、業務上の負傷や疾病による療養中であっても、休業しないで出勤いているのであれば、解雇制限は受けません。

また、ここでの休業とは、原則的には全部の休業をいい、通院しているような一部休業については、休業に該当しないものと解されています。

《休業手当》

Q4.私は、介護施設で1日3時間、週3日という就労条件で働いていましたが、担当していた介護利用者2名から解約があり、仕事がなくなってしまいました。使用者は「他の利用者を探すので待っていて下さい。」と言いますが、その一方で「他で職を探してもいい。」などとも言います。確かに仕事はしていませんが、私も生活のことがあるので困っています。何らかの補償を受けられないものでしょうか?

A4.1日3時間、週3日勤務というのが契約した労働条件になりますので、使用者はこの労働条件で使用しなければなりません。パートタイム労働者も労働基準法の適用がありますので、使用者の責に帰すべき休業の場合には、正社員同様に休業手当を支払う義務があることになります。

 

《休業手当》

Q5.台風の影響で休業措置を講じた場合、休業手当を支払う必要はありますか?

A5.台風により公共交通機関に影響が生じたために休業した場合、それは外部的要因であり、一般的には不可抗力によるものとして考えられることから、使用者の責に帰すべき事由には該当せず、かつ、使用者の経営管理上の責任ともいえないことから、休業手当の支払い義務は生じないものとされています。

従って、始業時刻前に公共交通機関が停止していた事業場での全日休業の場合は、休業手当の支払いは必要ありません。

しかし、就業期間中に公共交通機関に影響が出始めた事業場で、就業期間中に帰宅させた場合については慎重に判断する必要があると考えます。仮に、公共交通機関に影響が出始めたとしても、それが通勤への影響だけであり、業務遂行そのものには支障が生じていないような場合には、休業手当の支払いが必要となると思われます。

《賃金》

Q6.当社では、家族手当・住宅手当・通勤手当に関しては本人の届け出により支給するものとしていますが、このたび従業員より「家族異動届の提出を忘れていたので、受給できる手当をもらっていなかった。ついては異動の事実が発生した2年前まで遡及して手当を支払ってほしい。」との申し出がありました。遡及しなければならないでしょうか?

A6.労働協約・就業規則等において各種手当の支給基準が明確で企業が支払い義務を負うものであれば、従業員から請求された場合には、金額の多寡とはかかわりなく2年前まで遡及して支払うべきである。

《賃金不払残業》

Q7.月曜日から金曜日まで1日5時間の契約で勤務しているパートタイム労働者です。毎日平均30分程度の残業がありますが、給与は契約である5時間の計算でしか支払われていません。時間外手当を請求することはできないのでしょうか?

A7.サービス残業は労働基準法違反になります。当然、時間外手当の請求はできます。できれば書面で請求して下さい。もし支払ってもらえないようであれば、請求した書面のコピー、タイムカードのコピー等を持参の上、事業場を管轄する労働基準監督署に出向き“賃金不払い”ということで相談して下さい。

《割増賃金》

Q8.使用者です。当社の就業時間は9時から17時(1時間休憩)で所定労働時間は7時間となっています。従業員が17時以降23時まで残業した場合、割増賃金の計算がどうなるのか教えて下さい。

A8.17時から18時までの1時間は法定時間内残業ですので、1時間あたりの賃金×1.00×1時間となります。

次に18時から22時までの4時間は法定時間外残業になりますので、1時間あたりの賃金×1.25×4時間という計算になります。

最後に22時から23時までの1時間は法定時間外残業および深夜残業となりますので、1時間あたりの賃金×1.50×1時間という計算になります。

結果、支払うべき割増賃金は上記計算の合計額となります。

《割増賃金》

Q9.使用者です。当社は半日有休を認めています。午前半日有休を取得した者が所定終業時刻を超えて勤務した場合、その時間分は割増賃金を支払わないといけないのでしょうか?

A9.割増賃金の支払い義務は、あくまでもその日の実労働時間が法定労働時間を超えた場合に生じることになります。従って現実に就労していない時間は実労働時間として解釈する必要はありません。

《定年再雇用》

Q10.定年再雇用する場合、労働条件が低くなっても問題ないか?例えば週1日勤務となるような場合や短時間勤務になる場合です。

A10.高年齢者雇用安定法では、労働者が希望した場合、希望者全員を65歳まで継続雇用しなければならないとなっていますが、労働条件までは定めていません。労働条件が多少低下しても労働者が合意すれば問題ありません。また労働条件が著しく低下したことにより、労働者と合意できず退職することになった場合、雇用保険上、会社都合退職の扱いになります。

またトラブルも予想されますが、最終的に合理的な裁量の範囲かどうかの争いになります。

《賠償予定の禁止》

Q11.派遣労働者としてパチンコ屋で勤務していますが、体力的にきつく継続して勤務することが難しいので辞めたいと思っています。派遣元にその旨伝えたところ「退職するときは30日前に申し出ることになっている。ルール違反をした場合、罰金を科す。」と言われました。どうしたらいいですか?

A11.労働基準法第16条により、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはならないことになっています。

例えば、「労働契約の不履行の場合の違約金を設定する。(例)途中で辞めたら、違約金を払え。」ということは禁止されています。

あらかじめ金額を決めておくことは禁止されていますが、現実に労働者の責任により発生した損害について賠償を請求することまでを禁止したものではありません。

本件の場合、違約金を請求されても支払う義務はないということになります。